妊娠も安定期に入った頃、結婚前はスポーツジムで働いていた事もあり
「よおし マタニティエアロやスイミングでマッチョ妊婦になるぞー!」などど またわけのわからない事を目論んでいた。
しかし、検診で担当医に
「あー だめだよぉ、もう子宮口開いちゃてるから。 早産の気もあるしね」
ショボーン。
妊娠五ヶ月で開いている子宮口、うちの子そんなに早く出てこようとしているのか!?
そして 妊娠後期にはいった頃
「切迫早産だからね、連休明けたら 入院しましょう!」
入院なんてハジメテ、ちょっとドキドキだ。
「先生 入院ってどのくらいの期間ですか?」と聞いてみた。
「そうね、1週間から長くて2週間かな?」
そっか、まあ旅行みたいなもんか、上げ膳据え膳でラクチ〜ン♪
の、ハズだった。
どうして こう いつもいつも考えが甘いんだ
三十代も中盤になって変わらないわねアタシ.....そんなアタシが好きよ♪
ほんとよねー、こうでも言わないとやってらんないわよねー。
なんでオネエ言葉なのだ。
連休も終わり 明日からは入院だ。
翌日 ケンコと共に病院へ 受け付けで手続きを済ませ 病室へ。
「はい じゃあ寝巻きに着替えて下さい」
はいはい この日のためのオニュウの寝巻きよ♪脳天気にもほどがある。
「着替えましたね、では点滴しますね」
えっ!もうイキナリ!!
「えーと ミハラさんは安静度数3ですね、お手洗いと食事以外は起きないで下さい」
「それと 点滴は退院までこのままですよ。 お風呂は週二回 15分以内ですよ。」
家に帰りたい。
生まれてこのかた一日中からだに針がささっていることなんてなかった。
ゴハンたべるときも腕に針さして点滴、トイレもいっしょ、寝るのもいっしょ、お風呂もいっしょ。
いつでもいっしょ。
ダンナよりそばにいる。
安静とはとにかく 起き上がらない事。
することがないぞ、テレビはカード購入が高いので見ない。
持参した本も 図書室の本もあらかた読んでしまった。
どのくらいヒマかというと。
朝 6時に起床し朝の検診や体重測定、7時に朝食、洗顔など済まし ちょっとボーとする。
しばらくして担当医の回診があり、その後 診察室で胎児の様子などを見る。
病室に帰って することがないので寝てしまう。
「あ〜また寝ちゃったよ」と起きても まだ10時だった。 |
通っていた病院は 看護士、助産士さんとも「若さ満開ピチピチ係数」が非常にたかく
しかも みな可愛いのだ。
その彼女達が色とりどりのナース服なので 見舞いにくるダンナ達もさぞやココロときめいた事であろう。
すくなくとも うちはそうだ。
その看護士達の中でも かわいさトップレベルであろう看護士さん(特に名を秘す)がいるのだが
彼女は可愛らしさもさることながら、ヘマ指数も異常に高かった。
常時 点滴をしているので 夜間も1時間おきぐらいに見回りに来てくれる。
入院当初は夜中や早朝に人の気配を感じて
「うおっ!なんだなんだ!誰だあ! あ、ここは病院だった」と飛び起きていたのだが
二週間もすれば慣れたもので、おかまいなしに熟睡だ。
しかし、その彼女は必ずといっていいほど
いつでもなんどきでも血圧計やカルテをのせたワゴンをべッドにがこんがこんぶつけるのである。
がこっ!
「うぉ〜なんだなんだ!」と飛び起きると
「ごっ、ごっ、ごめんなさーい!」
.......かわいいから許す。
ある日、ベッド脇のナースコールから
「はい、どうしました〜?」と、その声はくだんの彼女である。
オイラはナースコール押していない、しかも病室全員のナースコールから聞こえている。
どうやら スイッチを押し間違えたのか よその患者への応答を入院患者全員への応答にしてしまったらしい。
しかも 他の看護士に間違いを指摘されたらしくスイッチを切ろうとするのだが
彼女はその切り方が解らないらしい
「あ!間違ったー、あー切れないー!あー!どうし...」ブチッ
強制的に切断された様である。
......かわいっからいいかあ!
点滴は毎日交換してもらうのだが、間違わない様にボトルに病室番号と名前がカタカナで書いてある。
ある夜、 あんまりヒマなので点滴のコードをもって上からぶらさがるボトルをゆらして遊んでいた。
ぐるんぐるん回るボトル。
なにげなく ボトルに書かれている自分の名前を見た。
「ん?」よくみるとそこには
301号室 ミハラ マソコ様
この病院ヤベぇよ、と正直思った。
|
病室は三階、そこに入院しているのはみな妊婦である。
その患者数に対して どうもトイレの数が少ないようなのだ。
しかも 洋式のみならず なぜか和式もある。
妊娠しオナカもでてきた妊婦に和式はいかがなものかと、座ったが最後立ち上がれないぞ。
そんなわけで洋式は人気者だ、 トイレに行くといつも誰かいる状態、もう戦い。
そんなある日 あいているの確認し扉をあけた。
そこには 正しく前を向き洋式に鎮座される妊婦がいた。
さっさと閉めてしまえばいいものを、人間ってわからない。
取ってを持ったまま「すッすッ すみません!」と誤る自分。
そっと 扉を閉めあとずさりながら「すみません!」と病室へ走る
そんなオイラの後姿に「ごーめーんなさーい!」と叫ぶ声。
なんだよ カギ掛け忘れたあっちが悪いんだろう。
と、思いつつも廊下で会うと気まずいので 「あの人に開けられた」とバレないように違う寝巻きに着替えた。
ちょっとニクイ心遣い。
びっくりして産まれるかと思った。
|
当初 最大でも2週間のはずだった入院予定 気が付くと2ヶ月近くいた。
あれよあれよというまに 病室で一番長く入院している。
もう何人の同室患者を見送っただろう、なんだか社内で寿退社してゆく後輩OLを見送るお局の気分だ。
そんな 切ない気分を味わいながらも晴れてシャバに出られる日を迎えた。
ああ、外の空気はうまいねぇ〜。
おお、なつかしの我が家だ。
さあ、階段を、を、を?
おお〜!?なんだカクカクカクするぞ!?昇れない!?
寝たきりの生活で足はおろか全身の筋肉がおとろえ 10段も上がれなくなっていた。
家は三階。
闘病とはあるが オイラが闘っていたのは 「ヒマ」と「洋式」と「階段」とゆうことか。
|
 |
|